離婚した友達と同好会を結成しました
その名も「一人っ子クラブ」
独り身であるのが加入の条件で、結婚していなくても親権が自分にある場合は「こっこクラブ」へと派生します
自宅でディスカバリーチャンネルを見ながら、死にたい死にたいと絶望を分かち合っていた去年……
行動しなくては何も変わりません
コロナが渦巻くなか、月2で出会いを求め、身なりを整えて飲み屋を梯子したりジムに通う頭のおかしい活動をするクラブなので、金の卵をアイコンにしたグループLINEは今のところふたりです
私達は38歳
残された時間は多くはありません
19時30分
精一杯のおめかしをして田舎町の寂れた繁華街へと繰り出します
地元の出会いスポットでもある横丁に足を踏み入れますが、私は見た目も中身も生粋の陰キャ
友達はパリピな見た目のオタクな下戸です
裏路地の小さな飲み屋を入り口のガラスごしに片っ端から覗きます
「ブス……ブス……ブス……男連れ……ブス……」
常日頃から「女は外見」と豪語する友達
足が疲れてきたのでとりあえずどこかに入ろうと提案するも
「バカか!!
高い金払ってブスと一緒に飲んでどうする!?」
秒で却下されます
私もガラス越しにイケメンを物色しますが、なかなか好みのタイプに出会えません
例によって自分の容姿は棚上げです
友達はモテるので、2回ギャルに逆ナンされている間、その辺で突っ立って暇を潰しますが、誰ひとり声を掛けてくる気配がありません
見た目の格差ってえげつないですね
道行く男性陣の視界にすら入っていないステルスウーマンです
イオンなどを一緒に歩くと、見知らぬ人に
「……え? 女ブスじゃない?」
と言われるので慣れていたつもりでしたが、地味にダメージが蓄積されます
豆乳ソーダにハマっています
めちゃくちゃ美味しいです
2時間ほど歩き回り、人酔いしてきたので車に戻ります
15分ほど放心し、再びウロつきますが、再び友達がギャルに逆ナンされたので、コンビニでゼクシィを立ち読みしながら己の顔面を呪います
神様は不公平です
お腹が空いてきたのでびっくりドンキーで食事をするも、私の頼んだ【のみごろキウイ】だけ注文を忘れ去られます
あまりにもモテなかったので、同情で帰宅途中に友達の会社の先輩を紹介してもらえることになりました
「普段から彼女欲しい彼女欲しいってうるさい人だから大丈夫
目細いしガッチリしてるし、やさぐれの好きなタイプだと思う」
との言葉に期待を膨らませながら、私がいない体で先輩に電話をかけてもらいます
ハンズフリーなので会話は丸聞こえです
「おー! 何? どしたー?」
優しそうな声にホッとします
寂れた繁華街になど繰り出さなくとも、幸せの鳥は身近にいたのです
「いや◯◯さん彼女欲しいって言ってたじゃないですか
友達紹介したくて」
「マジか!? どんな子?」
親指を立てて合図をくれる友達
勝利を確信したのも束の間
スペック紹介で私の年齢を発した途端、電話越しの声がこもります
「いや……お前……え……アラフォーかよ……
ちなみに顔は? 可愛い??」
友達は嘘がつけません
マジマジと私を観察
しばしの間をおいて
「あ……普通……たぶん
いやでもアレですよ! 面白いっスよ!!」
気まずさMAXの車内に無情な声が響きます
「いや……俺子どもとかも欲しいからさ
彼女に面白さとか求めてねーわ」
アラフォーなのはお互い様だと思うのですが、女は若さが重要なのでしょう
「いや取り合えず◯◯さんの番号も教えとくんで、LINEでもしてみてくださいよ!
やさぐれにもあとでワンギリさせるんで」
「うん……あー了解……したらな」
最初のテンションが嘘のようです
半ば強引に先輩さんの番号をスマホに登録され、ワンギリをしましたが、丸1日経っても連絡はありません
LINEで電話番号検索をしてみるも、自動追加設定を切られているのか見つかりません
友達に状況を伝えると
「いま警察官の知り合いに交渉してるからちょっと待ってて!
hitomiは40過ぎて子ども産んでるから!!
大丈夫だから死ぬな!!」
そっか……hitomiが……
早速【hitomi 出産】と検索
………………うん
44歳で第4子を産んでますね
第1子の出産は32歳ですね
………………
早く死にたいです