人生のツケが押し寄せすぎ

40歳ひとり暮らし貧乏女の心境と愚痴

出川ファイナル 1/3

有給中で5連休です

前回のコメント欄を見て思い出しましたが、出川との温泉旅行の話を書き忘れていました

38歳10ヶ月にもなると物覚えが悪くなって嫌ですね

去年の7月の有給中、兼ねてから温泉に連れていけとリクエストしていたので

「仕事ものすごく忙しいけど、死ぬ気で調整して時間作るね」

と、恩着せがましい出川と温泉に出掛けました

行き先を訪ねると

「現地に着いてからのお楽しみ」

自らハードルを上げてきます

出川の会社は365日無休ですが、昼前には出発出来るとのこと

当日、ワクワクが止まらない私は、新しい服を新調し、ラッキョウ顔に念入りに化粧を施します

………………

13時になりました

催促LINEをすると

「出掛けにお客さん来ちゃったからちょっと待ってて!」

ちょっと待ちます

………………

15時になりました

「引き継ぎしてるからちょっと待ってて!」

ちょっと待ちます

………………

16時30分になりました

脂性なので早々に顔がテカってくる悲しみ

「今から向かうわ!」

待ちぼうけを食らいましたが、自営業は大変なのでしょう

時間が迫っていたので、寄り道もせずに真っ直ぐ現地へと向かいます

どこに連れていってくれるのか

ウキウキが止まりません

出川の携帯に、会社の人から20分起きに仕事の電話がかかってくるので申し訳ない気分になりますが、私はすこぶるご機嫌です

近場の温泉街に差し掛かり、嫌な予感がしました

「着いたよ」

………………

事前にリクエストした旅館でもなければ、道中に道の駅などに立ち寄り観光をするのでもなく、温泉街の中でも寂れた場所でしたが、忙しいなか時間を作ってくれただけでもありがたいと思わなければいけません

誘導された駐車場にバックする出川

「お客様!!」

後方に駐車してあったハーレーにぶつかりそうになり、慌てた旅館の人が飛び出してきます

「あんなとこにバイク置いとくほうが悪いね」

笑顔で同意を求められましたが、空気を悪くしたくなかったので愛想笑いでお茶を濁しました

窓が空いていたので、旅館の人にも聞こえていたのでしょう

「申し訳ありません

ご案内致します」

笑顔がひきつっているのがわかりました

コロナ渦のご時世にノーマスクで車から降りようとする出川

マスクを渡すも

「似合わないからいい」

と拒否されます

そういう問題ではないと勧めるも

「いらない

似合わないからつけたら変だから」

強めな口調で拒否されます

確かに似合いませんが、私服の蛍光オレンジの車がプリントされた首元ヨレヨレTシャツや、旅行バック代わりのUNIQLO紙袋は気にならないようです

フロントで館内の説明を受け、水着の貸し出しの有無を聞かれます

聞けば温泉内に男女混浴の温水プールがあり、水着か湯あみ着を着用して利用出来るとのこと

テンションが上がって水着を選ぼうとする私でしたが

「…………そんなに他の人に見られたいの?」

理解出来ないものを見る出川の目線

見られたいわけでもなく、他の男の裸が見たいわけでもなく、一緒にプールに入りたかったのですが、フロントの人がいるので弁解するのも気恥ずかしく、水着のレンタルを諦めます

部屋につくと、夕食バイキングの時間が迫っていたので、先にご飯にしようと提案するも

「仕事終わりで気持ち悪いから、先に軽く汗だけ流してくるね」

浴衣に着替え、私の同意も待たずに鍵を持って部屋を出ていこうとします

部屋に備え付けのタオルとバスタオルがあったので、渡そうとすると

「いや、脱衣所にあるでしょ」

身一つで出ていく出川でしたが

「……タオル忘れた」

5分後に戻ってきて、バツが悪そうにタオルとバスタオルを取りに来ました

………………

「あースッキリした」

30分ほどで戻ってくるだろうとの予想に反し、1時間40分お風呂を堪能して来た出川

夕食会場の入場時間まで残り10分を切っています

慌てて向かうと、ノーマスクの出川を見て

「恐れ入ります、会場はマスクと手袋の着用をお願いしておりまして……」

受付の人がマスクとビニール手袋をくれますが

「いらない、大丈夫」

やや不機嫌で通り過ぎる出川

「あの……

コロナ対策で決まりとなっていますので、お連れ様に着用するよう言っていただけますか?」

同類だと思われる可能性があるので、追い掛けて半ば強引にマスクと手袋を着用させました

完全に不機嫌になりますが、大人なので我慢してもらう他ありません

もうすぐ閉店なので会場はガラガラ

旅館の人達も片付けモードになっているので居心地が悪いです

少ない中から料理を取り、着席して10分

食事もそこそこに係の人がやってきます

「申し訳ありません

お食事時間が残り5分となっておりまして」

急いで食べようとした矢先

「そうなの?

いま来たばっかりなんだけど

サービス悪いね」

お前の来店時間とか知るか!

と言いたげな店員さんでしたが

「申し訳ございませんでした

ごゆっくりお寛ぎください」

顔をひきつらせながらプロの対応をして踵を返します

申し訳なさでお腹が痛くなってきた私と裏腹に、追加でビールを頼もうとした出川に驚愕し、温泉の向かいにあった飲み屋に行こうと誘い、会場を後にしました

食後にそれぞれ温泉を堪能します

出川はとんでもなく長風呂なので、1時間後に集合と念を押します

一緒に銭湯などに出掛けると、サウナ大好きっ子の私の滞在時間2時間を優に超え、4時間は出てこないので待ちぼうけをくらうのです

居ないとは思いましたが、万にひとつの可能性にかけて、湯あみ着を着用して温水プールに向かいますが、幸せそうなカップルだらけだったので悲しくなり、同じく独りのイケメンお兄さんの近くでしばらく夕日を眺めて疑似デートを楽しみます

完全な痴女です

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ハマってるインスタント味噌汁です

ミョウガを散らすと神の飲み物になります

30を越えてから、汁物がないと固形物を飲み込むのが厳しくなってきました

部屋に戻ると出川がビールを飲んでいます

温水プール楽しそうだったよと報告すると

「え?行ったの?」

表情が険しくなったので、出川が居なかったから帰って来たと告げました

イケメンとの疑似デートは秘密のアッコちゃんです

深夜だったので飲み屋は貸し切りでした

サウナで乾いた体に梅サワーが染み渡ります

カウンターには人の良さそうなマスターと、30代後半くらいの女性

「お兄さん鳶職ですか?」

身長163センチに質問するマスター

「え……初めて言われた」

困惑する出川でしたが、ちょっと赤くなってたのは酔っぱらっていたからかもしれません

「お姉さんは……わかった!

ビジネスホテルのフロント!」

生涯5度目のビジネスホテルのフロント顔認定を頂いたので、肯定も否定もせずに薄ら笑いします

人の職業をプロファイリングするのは難しいですよね

Sさんは腰まで髪の毛があるので

「プロレスラーですか?」

と聞かれることが多いそうで

「覆面被ってたんですけど、膝痛めて引退しようか迷ってます……」

などと、ちょっと悲しげな雰囲気を出すのが好きだそうです

マスターは地元民ではなく、1時間半かけて通いで通勤しているとのこと

隣の女性は同級生で、バツイチ

最近離婚したばかりで親権を元旦那さんに取られたそうで、聞けば同い年だったので、懐メロ話題で盛り上がります

マスターと意気投合し、名刺交換をし、店内にチラシを置かせてもらえないか交渉する出川に商売人魂を感じます

「ふたりは夫婦?」

女性の質問に

「いや…………」

私が口を開くよりも早く秒で否定する出川

カップル…………うん、カップル」

自分に言い聞かせているようにも見えましたが、事実そうだったのでしょう

「そうなの? 結婚は??」

さらに突っ込んでくる女性に

「うん……ね?

それはまた追い追いね……うん」

同意を求められますが、出川は気まずいときに目が泳ぐので、可能性はないなと感じました

他にお客さんがいなかったので朝方まで4人で泥酔し、コンビニで追加のお酒を買って部屋に戻ります

冬から株式会社にするらしく、有限責任無限責任の違いを説明され、これからの方針について熱く語られますが、頭が悪いのであまり理解出来ません

酔っぱらっていると悩みが吹き飛び、無条件で幸せになるので、笑顔で聞いていた気がします

翌朝

爆睡する出川を起こさないように朝風呂を堪能し、部屋に戻り身支度を整えます

お腹が減っていたので、ひとりで朝食バイキングに向かいたかったのですが、一応出川に声を掛けます

「俺も一緒に行く……ちょっと待って」

寝言なのか何なのかわからない返答にちょっと待ちます

………………

30分が経過したのでもう一度声を掛けます

「いま起きる……大丈夫…………」

………………

さらに30分が経過したので、布団を剥いで窓を開け、外気を取り込むも

「寒いよ……寒い…………」

エビのようになる出川が可哀想になり布団を掛けました

………………

30分後

「時間ないよ、起きて」

出川の声で目が覚めます

つられて寝てしまったようです

慌てて朝食会場に向かうも

「お食事時間が残り5分ですがよろしいですか?」

他に選択肢がなく、急いで食べていると

「ここの旅館は本当にせわしないね」

またもや不機嫌になる出川

もう突っ込む気力もありませんが、私は淑女のババレディ

夕方くらいまでゆっくり出来るそうなので、観光を楽しみながら帰るかとポジティブに考えていた矢先、出川の携帯がなりました

「はい……うん…………うん…………で?」

会社の人がいるときの出川は、途端に偉そうな口調と態度になります

心なしか私にも亭主関白口調になるのをやめてほしいと頼むも

「だって……デレデレしてたら恥ずかしいでしょ

舐められるし」

下を向きながらの言い分にキュンキュンしたので、以後、立てるように努めていました

「……ごめんね、レッカー入って戻らないといけなくなっちゃった」

言いにくそうに謝られては、責めることも出来ません

家まで送り届けてもらい、お礼を言うと

「俺も楽しかった!

またどっか行こうね」

ことごとく要望が叶わず、正直不完全燃焼でしたが、忙しいなか時間を作ってくれたことに感謝をしました

………………

ここまでが1年前の話です

先日、突如LINEの【友だちかも?】に、出川に肋骨を折られて逃亡した元従業員の人の名前が上がってきました

気になったので友だち追加をすると、秒でメッセージが届きます

「お久しぶりです

覚えてるかな?」

この人もなかなかトリッキーで印象深かったので、覚えていると返答

ここから更なる出川の秘密が明らかになるのです

続きます

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