人生のツケが押し寄せすぎ

40歳ひとり暮らし貧乏女の心境と愚痴

銭湯のバトルシップ3/3

サウナを満喫し、汗を流すべく洗い場に向かった矢先、事件は起こりました

私の席に座りながらお喋りに花を咲かせる中年女性逹……

愛用のミントグリーンのmyカゴは、無惨にも落ちそうなくらい角に追いやられています

産まれたままの姿で呆然として立ち尽くす私をチラ見しますが、彼女らが避ける気配は微塵もありません

ここで文句を言うか否かが、子どもおばさんと大人女子の境目となります

元より場所取りは禁止とされているので、そもそも私が悪いのです

自分の大人ぶりにウットリしながら、悠々とmyカゴを手にその場を離れます

素敵です

素敵すぎます

自分にプロポーズしたいくらいです

ゆったりと周りを見渡したところ、新たな問題が発生しました

空いている洗い場がありません……

仕方がなく人気のない洗い場に置いてあるsomeoneカゴをそっと横に寄せます

銭湯とは公共の場所

共有するのが本来のマナーです

「え……そこ使ってるんですけど」

誰かが座っていたイスの窪みを念入りに洗い出したところ、不機嫌そうな声が聞こえました

振り向くと後ろには20代前半であろう女子が2人、湯船から立ち上がりこちらを見ています

首から生えてるんじゃないだろうかという位置に胸が存在しています

おへそと仲良しな私の胸に謝ってほしいです

「……すみません

空いているところがなくて

湯船に入ってる間だけ場所借りたらマズいですか? 」

人間すっぴんに加え裸ん坊だと、極端に気が弱くなります

弛んだ中年のわがままボディを晒しているのだから尚更です

「いや、だから使ってるんですけど

そこ、私の場所なんですけど 」

周りの人の視線が私に集まります

絵面的にどう見てもこっちが悪者です

鼻の奥がツーンとしてきました

泣いたら悪者の異常者になります

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画像は家から車で5分の実家で、お母さんが作ってくれたご飯です

私が作るエサとは違い、美味しかったです

せめてもの反抗で、無言でその場をあとにし、露天風呂でかけ湯をしたあと、湯船に浸かりました

……温泉はいい

傷ついた心が癒されます

癒すための傷も負えるのが温泉の醍醐味です

もうすぐ夕方になる時刻です

長風呂はお手のものなので、30分も待てば混雑は解消されることでしょう

岩風呂に頭をもたれさせて私は、大きなミスに気付きました

私の髪はひどい癖毛のうえに頭頂部が薄く、耳から下の毛量が多い落武者スタイルです

よって岩風呂に頭部を預けるときは、クッションとしてタオルを挟んでいます

湯船に浸かっている間も頭の上です

それが……ないんです

ヒンヤリとした感触がダイレクトに頭部に伝わってきます

myカゴ置き場にタオルを入れた覚えはないので、どう考えてもさっきの洗い場です

しかも長年愛用している絹のタオルなので、諦めるという選択肢は存在しません

そっと洗い場に戻ったところ、いじわる女子2人は頭を洗っていました

天は私に味方しています

息を殺して近付き、汚物のように角に追いやられたタオルに手を伸ばした瞬間

「うわっ!!何!?」

気配を察したいじわる女子の1人が、怯えた表情で顔を上げました

「いや……へへ……タオルをね……ちょっと

すんません……へへ」

今日も私は銭湯へ通います

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