人生のツケが押し寄せすぎ

40歳ひとり暮らし貧乏女の心境と愚痴

心が綺麗なイケメン

猛吹雪でした

職場の閉店時間が早まったのですが時すでに遅し

好きな寿司ネタは炙りえんがわです

一面の銀世界にウットリしている暇はなく、店のスコップを使って凍えながら、うずたかく降り積もった車の雪下ろしをしタイヤ周りを除雪

何度もハンドルを取られそうになりながらアパートの駐車場にたどり……着ければよかったのですが、小道に入った途端、腰の高さまで積もった雪で身動きが取れなくなりました

原因はわかりませんがドアのロックが反応しません

口癖のように

「車のことなら何でも頼って」

と豪語する出川から

「雪すごいから気を付けてかえんだよ(原文のまま)」

と、口だけの優しさLINEが来ていたので

「車のドアのロックかからないのって何が原因?

雪に埋もれてるから?」

LINEで質問してみます

決死の思いで車から降り、歩いて1分半ほどのアパートへ

雪かき用のスコップを持って引き返す予定でしたが、全身が雪にまみれているので死にそうに寒いです

歯がカチカチなります

とりあえず暖まろうと灯油ストーブのスイッチを入れた途端

とてつもないガス臭に包まれました

疲れきっていたのでいっそ楽になりたいと横になってみますが、あまりに寒かったので思い直し、灯油ストーブを止めて電気ストーブの前に移動

食べる暇のなかったお弁当のしらす干し入りオニギリでエネルギーをチャージします

ノッてきたので買い置きしていた生クリームどら焼きを2個

昨日ひたすら切って冷凍した野菜で味噌汁を作りました

f:id:yasagureonna:20200304210353j:plain

何も解決していませんが人心地ついたので、スコップを持って駐車場に向かいます

アパートの立地が悪く吹き溜まりになってしまうので、膝上まで雪に埋もれながら進むこと1分半

せっかく暖まった体が台無しです

タイヤの周りの除雪を始めますが、吹雪で視界が極端に悪く息が出来ません

ダメ元で車の中に避難

エンジンをかけて前進を試みます

ブルルルルルンッ……

ブルルルルルンッッ…………

響く音が悲しいです

ドアの隙間に入り込んだ雪がロックを妨げているようだったので、水筒のお茶をかけてみたところ鍵がかかりました

駐車場の入り口で立ち往生する私の車の横を何台かの車が通り過ぎていきます

ギリ通れるスペースはあるようです

明日の朝には風が収まるらしいので、諦めて部屋に引き返しますが体力ゲージはエンプティ

雪を払い落とす暇もなく部屋になだれ込み、電気ストーブで体を暖めます

汗かきでありながら冷え性であるというヘッポコ体質なので、なかなか手足の感覚が戻りません

気休めにホッカイロを2個、腰と背中に装着し、ストーブの排気筒を掘り出そうと試みますが……

吹きだまりで胸の高さまで積もった雪は、スコップをさすと雪崩となり玄関を塞ぎます

掘っても掘っても排気筒が出てこないので、半泣きで格闘していると隣に住んでいるカップルのお兄ちゃんが帰宅しました

恋人なのか夫婦なのかはわかりませんが、仲良しを体現したようなカップルです

「ストーブっスか?

手伝いますよ」

100キロは超えてそうな体躯ですが、いつも作業着を着ているのでガテン系の職種なのでしょう

重くて持ち上がらなかった雪をヒョイヒョイ掻いてくれます

「筒の先見えました」

頭にタオルを巻いた笑顔にノックアウトされそうになります

心が限りなくイケメンです

ついでに駐車場に入れたかどうか聞いてみると

「無理矢理突っ込んだ感じですね

お姉さんの車の周りも軽く除雪したので出れるかもですよ」

神です

私の隣には大仏様が住んでいます

…………カチャ

控えめな音と共にお隣の玄関のドアが開いて彼女が顔を出します

「……ガス点かないの」

「マジで!?

なんか給湯器に表示出てる?」

「◯◯って出てる」

そのままアパートの裏手に何かを確認しに行きますが、険しい顔をして戻ってきます

「なんも外れてなかったわ

飯は?」

「ガス点かないから……」

「……だよな

風呂入りてえ」

この彼女さんは身長が低く小動物系

保育士さんだそうです

華奢で声も小さく、物腰も柔らかいので庇護欲をかきたてるのでしょう

アパート前の雪かきをするのは隣の兄ちゃんか私の2択です

彼女は玄関を開けて兄ちゃんを見守りながら

「……頑張れっ……頑張れっ」

と控えめな声援を送るのが常なのですが

兄ちゃんは

「うるせえよ」

と口では悪態をつきながらも満更ではない顔をしているので、応援の効果は出ているのでしょう

私が男性に同じことをしたらスコップを顔面にぶつけられる自信があります

羨ましいです

兄ちゃんとはよく駐車場で会うのですが

「ついでなんで」

と、私が買い物した米や荷物をアパートまで運んでくれることもしばしば

時は満ちました

今こそ恩を返すときです

「あ、よかったらふたりともうちでお風呂入ります?」

………………

時が止まりました

気持ち悪すぎる申し出です

心なしか、彼女の目が恐怖で見開かれているように見えます

気まずいので雪に埋もれて死のうか考えていると

「いや~さすがに悪いっスよ

俺が入ると風呂釜壊れる可能性あるし!」

ジョークで罪悪感を薄めてくれるあたりがお気遣いの紳士です

彼女が本気で羨ましいです

死刑場に向かう気持ちで駐車場に戻ります

全身がチューペットのように冷えきっています

兄ちゃんが前輪の前方を掻いてくれていましたが、やはり前にも後ろにも進みません

諦めの気持ちでアパートに戻り、濡れたスーツとコート、手袋を乾かしていると出川から返信が来ました

「ん?

車のロックがかからないってこと?」

ん?

自分が送ったLINEを見返してみます

私は

「車のロックがかからないのって何が原因?

雪に埋もれてるから?」

と送りました

その返事が

「ん?

車のロックがかからないってこと?」

ん?

ん?

だからそう説明しています

こっちが

ん?

です

続けて

駐車場手前で車が動かなくなって置いてきたこと

排気筒をほじくり出したことを伝えると

「マジでか

こっちも身動きとれないから会社で寝るよ

ストーブ1個しかないし

寒い…………最悪」

との返事が

軽くイラついたので

「◯◯さん(出川の会社の男の人でルームシェアして暮らしている)と一緒に寝たら温かいかもね」

と送ったところ、会話が途絶えました

本当に一緒に寝ている可能性があります

類友なのか、思いやりのない私には思いやりのない相手しか寄ってきません

明日は昼からの勤務なのですが、置いてきた車がかなり通行の妨げになっていると思うので、早起きして動かしに行きます

とりあえず風止んでほしいです

ー追記ー

6時に起きて埋まった車の周りの除雪をしていると、近くの家のお婆ちゃんが息子さんを呼んでくれました

「あ、大丈夫です」

申し訳ないので断るも、盛大にスッ転び

「一ミリも大丈夫じゃないしょ」

笑いながら手伝ってくれたイケメンお兄さん

声も喋り方も雰囲気もSさんに似ており

幸せの青い鳥がこんな身近にっ!?

と喜んだのも束の間

奥さんらしき人が家の前の除雪を始めたので秒で失恋しました

車を押してもらい、タイヤの向きを直してもらい

「これでバックすればイケると思う」

とのありがたいお言葉

感謝の気持ちでお兄さんの家の前の雪掻きを手伝いました

体はクタクタですが心が元気になったので、ニヤニヤしながら歩いて出勤します

私も優しい人と暮らしたいです

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