人生のツケが押し寄せすぎ

40歳ひとり暮らし貧乏女の心境と愚痴

局部に注射を打ってきた

休みでした

職場の人と回転寿司に行き己を鼓舞し、ドラッグストアでガーゼを購入して皮膚科に向かいます

1ヶ月前に続き、陰毛に出来た毛のう炎が悪化したケロイドにステロイド注射を打つ為です

2週間後に来るように言われていましたが、固くなった組織に針を差し液体を挿入するので、診察ベッドで鮮度のいいエビのようになります

勢いに任せなければ通院出来ないのです

痛みには強い方だと思うのですが、攻撃を受けたことのない場所は、大学卒業と同時に専業主婦になった勝ち組女のようにデリケートです

診察券を出して順番を待ちます

嫌すぎてお腹が痛くなってきました

程なく処置室に呼ばれ、カーテンで仕切られた区切りのひとつに案内されます

「今日は前回と同じく、お腹に注射を打っていきますね」

さすがは腕のいい皮膚科です

カーテンで仕切られているとはいえ男女混合の室内

【お腹】という可愛らしいワードで、陰部が弱い患者にも恥をかかせないシステムとなっているようです

新人らしいフレッシュな看護士もデリケートな対応をしてくれます

「先生が来るまでちょっと失礼して患部を見ますね」

自分の娘でもおかしくないような若々しい娘さんに変なものを見せて申し訳ないですが、仕事なので我慢してもらうしかありません

まな板の鯉のようになっていると、ベッドの足元側を通りすぎたおじさんと目が合いました

局部丸出しの密室だというのになんとも気まずい状況です

……………………

はて?

私は局部を晒しており、足元には看護士さん、その後ろにはおじさんがいます

……………………

大変な事実に気付きました

「あの……カーテン閉めてもらってもいいですか?」

自意識過剰のアラフォーと思われるのを恐れて、動揺を悟られないように伝えます

「え? カーテン…………??…………あっ!!」

ジャッ!!

急いで足元のカーテンを閉める看護士さんですが、勢いが良すぎて頭側のカーテンが引っ張られ、隣のベッドの女性とこんにちは

「すみません! すみません!!」

ジャッ!!

頭側のカーテンを引っ張ると、またもオープンする足元のカーテン

パニックを起こしているようなので、エレガントにパンツを上げて局部をガードした大人の私です

「あ、別に大丈夫です」

自分でも何が別に大丈夫なのかわかりませんが、きっと大丈夫なのでしょう

動揺を隠しつつ体を起こし、再度仰向けに寝そべると、目標を誤って枕を通り越し壁に頭を打ち付けました

「……ふっ……いやすみません……本当に……んふっ

だ……だいじょぶ……ですか…………ふふふっ……」

詫びねばならないという責務と笑いに板挟みにされる看護士さん

そうこうしているうちに先生が来て、地獄の処置をされます

ほぼケロイドの膨らみは消滅しているので、もう通院はしなくていいとのこと

僅かな赤みを消したいのであれば1ヶ月後に来てほしいと言われました

長年の悩みが解決し、いつ誰に見られても恥ずかしくない美しい局部となったのでテンションが上がります

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スーパーで鰹のタタキと惣菜を買いました

ひとり分であれば、手間を考えると自炊よりも確実に安い気がします

前回の注射でパンツが血塗れになったことを伝えると、看護士さんが患部を念入りにマッサージしたあとにガーゼを貼り付けてくれます

「服につかないように大きめにあてときますね」

嬉しい心遣いです

人間に失敗はつきもの

人は経験から学ぶのです

知らないおじさんに局部を見られたのは事実ですが、これが看護士さんの成長に繋がってくれれば幸いだなと、謎から目線の心境でいた矢先

「なるべく陰毛部分は避けてテープ貼ったんですけど、剥がすときに痛かったらすみません!!」

処置室に元気のいい声が響き渡ります

………………

若きナースの成長の糧となれて幸せです

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